山田 佐世子さん
29回生 1995年卒業
井上レディースクリニック 麻酔科医師
昭和大学 医学部卒
医師となり17年。純心教育で学んできたものを振り返ってみました。
第一に、「やり抜く力(GRIT)」:
冬場のマラソンに対し、「なぜこんなに苦しい思いをして走らねばならないのか」と恨みに近い気持ちを抱えていましたが、実は、その後の医学部受験、国家試験、専門医試験、学会発表にいたる数々の課題をクリアする際、マラソンで培った「ダメだと思ってもあと一歩前に出る力」が底力になっていると感じています。
第二に、「自分を愛するように隣人を愛し、慈しむ」という聖書の言葉:
医療の世界はチームワークであり、特にがん患者さんが抱える身体的、精神的、社会的問題を解決するには、医師一人にできることはわずかであり、多職種の協働がとても重要なカギになります。医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、管理栄養士、理学療法士…と多岐にわたる専門職で成り立つ緩和ケアチームでは、メンバー間に上下の関係はなく、メンバー同士は互いにリスペクトし合い、個々人がプロとして患者さんに提供できる最善の医療やケアを追求しています。自分と同様にかけがえのない存在である隣人と協働していくことを、純心時代の講話や行事を通して学びました。
第三に、「他者に仕える奉仕の精神」:
現在、縁あって自分がお産をした産婦人科クリニックに常勤麻酔科医として勤務し、医業と並行して70名程のスタッフを管理する役目を担っています。従来型リーダーシップの「相手の上に立って相手を動かそうとする概念」ではなく、「相手への奉仕を通じて、相手が一番必要としているものを提供し、相手を導く」という「サーバントリーダーシップ」の考えは、江角ヤス先生の生き方そのものであり、私の手本となっています。